島だより

~2027年 宮古島のあなたへ

自衛隊による市民の生活圏を軍事展開範囲とすることを前提とした防衛省敷地外の訓練を行わないよう求める要請

宮古島駐屯地から各自治会長宛で訓練の通知が届いています。
8月3日20時に保良訓練場を出発して、一周道路(県道)沿いに比嘉ロードパークで折り返し、翌日4日明け方に戻ってくるスケジュールです。

こうした動きを受けて、市民団体「宮古島平和ネットワーク」では行軍訓練を行わないよう求める要請を、防衛省、沖縄防衛局、宮古島駐屯地宛で提出する旨、会見を行いました。

また、沖縄県、宮古島市に対しても、敷地外訓練を行わないよう求める要請をあわせて提出します。

訓練は災害および有事を想定して、実際の地形を行軍するというものです。

奄美ではすでに国立公園を使った訓練が行われ、石垣でもPAC3が民間地に展開しています。
離島においては駐屯地は狭すぎるのでしょう。

島全体を訓練地として使っていきたいはずです。
また当然ながらその先には、有事の際、島全体が軍事拠点となっていくということです。

戦時中の「軍民一体」は、現在日本が批准するジュネーブ条約では違反となります。軍隊は民間人をあらかじめ巻き込むようなことをしてはならず、民間人は保護されるべきものとして、「軍民分離」されなければいけません。

12式地対艦ミサイルは車載型で、移動しながら撃つものです。
配備前からすでに、宮古島駐屯地ミサイル部隊は、島全体を軍事展開範囲にすることを想定したものでした。

石垣島で行われた住民避難のシンポジウムでは、元幕僚長の方が「自衛隊と民間人が一緒にいたら攻撃に巻き込まれても文句はいえない」としてシェルターと島外避難を必須のように話していましたが、そのことが全てです。

「自衛隊が島にいれば安全」ではなく、自衛隊が島にいる以上、私たちは島を出ていくしかないのです。

一日一日、そのための準備を国をあげて進めてきている一方で、島に住む私たちのなんと悠長かと思うことがあります。
この島に住み続けることが、私たちにできる反戦。最近はそういう思いでいます。

 

令和5年8月1日
防衛大臣 浜田 靖一 殿
宮古島平和ネットワーク
 

自衛隊による市民の生活圏を軍事展開範囲とすることを前提とした
防衛省敷地外の訓練を行わないよう求める要請

 陸上自衛隊宮古島駐屯地は、令和5年度8月3日~4日の期間で公道を使用した行軍訓練を行うことを関連自治会へ通知しました。
 事前説明会において防衛省および沖縄防衛局は、敷地外での訓練を行う旨の説明を一切していません。訓練の詳細については「宮古島において日米共同訓練、宮古島の海岸線を使用した訓練、飛行訓練、実弾射撃訓練を行う計画はなく、また訓練にともなって、交通規制を行うこともありません」と回答しており、敷地外の訓練を前提としない内容での説明を行ってきました。
 また、今回の訓練を「有事・災害対処」のため「実地形・実経路」を使用するとしていますが、防衛省は宮古島市民に対し、有事の際に市民がどのような影響を受け、またどのように保護されるのかについても一切の説明をしていません。「ミサイルは抑止のために置かれるのであって撃つことを前提にしてない」と説明する一方で、有事の際に島が被害を受ける想定をして訓練をすることは矛盾があります。抑止に効果がないケースについて配備先市民に説明を行い、再度、市民の信を問うべきです。
 
 有事の際には日本が批准する戦時国際法によって、軍と民間人は分離されなければなりません。軍事目標主義において攻撃対象となるミサイルをはじめ、軍用車両および部隊が住民の生活圏に影響の避けられない形で軍事展開することについて、防衛省は戦時国際法に整合性のとれた説明を行う責務を果たすべきです。また、その説明ができない以上、住民の生活圏を軍事展開範囲と想定した訓練を行うべきではありません。
 宮古島に戦時国際法上の軍事目標たるミサイルおよび部隊を配備し、市民の生活圏までも軍事展開範囲とすることは、有事の際に宮古島市民の生活圏が攻撃対象となることに等しく、また市民を島外避難しか選択肢がないよう追い詰めるものに他なりません。
 今回の行軍訓練は、次に車両展開訓練になり、宮古島そのものを軍事展開範囲とする訓練となっていくことが想定されるものです。かつて離島を不沈空母と呼んだように、宮古島そのものが軍事拠点とされかねない一歩となるものと強く危惧します。
 
 こうした状況の中で、宮古島駐屯地が公道での行軍訓練を行うことについて宮古島市民として深く失望し、また島嶼部におけるミサイル部隊の配備と拡張が非人道的なものであることを、国および防衛省により一層理解することを望むものです。
 陸上自衛隊宮古島駐屯地をはじめとした島嶼部において、公道をはじめ、市民の生活圏を軍事展開範囲とすることを前提とした防衛省敷地外の訓練を行わないよう強く要請します。

以上